2月3日節分 寮生たちの思いを込めて
2月3日、節分。
暦の上では春の始まりを迎えるこの日、全寮制フリースクールの寮では、季節の行事として「恵方巻づくり」を行いました。外はまだ寒さの厳しい時期ですが、寮の中には、子どもたちの笑顔と活気に満ちた、あたたかな時間が流れていました。

この日の放課後、寮の食堂には中学生・高校生の寮生たちが自然と集まってきました。誰かに指示されるわけではなく、それぞれが「何を手伝おうか」と考えながら行動している姿が印象的でした。ご飯を炊く子、具材を切る子、初めて恵方巻を作る仲間に声をかけて教える子。学年や年齢の枠を超えて協力し合う様子は、日々の寮生活の積み重ねがあってこそのものだと感じます。
炊き立てのご飯の湯気、海苔の香り、彩り豊かな具材。食堂は、普段の食事とはまた違った、特別な雰囲気に包まれました。うまく巻けずに形が崩れてしまう場面もありましたが、周囲からは「大丈夫だよ」「それもいいね」といった声が自然と飛び交います。失敗を責めるのではなく、受け止め合いながら進んでいく姿に、子どもたち同士の信頼関係が垣間見えました。

当寮の全寮制フリースクールでは、学習面だけでなく、生活そのものを通して人との関わり方や社会性を育むことを大切にしています。今回の恵方巻づくりも、単なる行事ではなく、「一緒に作る」「役割を見つける」「相手を思いやる」といった学びが詰まった時間となりました。
恵方巻が完成すると、今年の恵方である「南南東」をみんなで確認しました。スマートフォンのコンパスを見ながら方角を合わせ、全員が同じ方向を向いて並ぶ姿は、どこか微笑ましく、静かな一体感を感じさせるものでした。「いただきます」の合図とともに、恵方巻を手にし、それぞれが心の中で思いを込めながら味わいました。
本来は無言で食べるとされる恵方巻ですが、思わず目が合って笑ってしまったり、大きな一口に少し苦戦したりと、子どもたちらしい素直な反応が見られました。その一つひとつが、この場所で安心して過ごせている証のようにも感じられます。
食事を終えた後は、「お腹いっぱい」「自分たちで作るとおいしいね」と満足そうな表情が並びました。後片付けも、誰かが声をかけると自然に人が集まり、最後まで協力して取り組むことができました。こうした日常の延長線上にある行事が、寮生活の安定や、子どもたちの自信につながっているのだと思います。

節分は「鬼を追い払い、福を迎える日」と言われています。この日の寮には、特別な演出がなくとも、笑顔や思いやり、安心感といった多くの“福”があふれていました。さまざまな思いを抱えながらこの場所で生活を始めた子どもたちが、仲間とともに行事を楽しみ、穏やかな時間を過ごしている姿は、私たちにとっても大きな喜びです。

寒い冬の終わりを感じながら迎えた節分の日。寮生全員で恵方巻を作り、同じ時間を共有したこの経験は、子どもたちの心の中に、あたたかな記憶として残っていくことでしょう。今後も、季節の行事や日々の生活を大切にしながら、一人ひとりの成長を丁寧に見守っていきたいと思います。