スクール便り

―チャレンジスクールの寮生活で広がる“食”の学び―

チャレンジスクールの寮生活では、毎日の三食をスタッフと寮生が協力して作っています。買い出しから調理まで、すべてが子どもたち自身の手によって行われるこのスタイルは、家庭での生活とは大きく異なります。

これまで多くのご家庭では、親が食材を選び、調理し、食卓を整えてきたことでしょう。しかし、寮では違います。子どもたちは自ら包丁を握り、火を使い、仲間と一緒に献立を考えながら食事を作ります。料理が初めてという子も少なくありませんが、そこは安心してください。先輩寮生が包丁の持ち方から丁寧に教えてくれます。調理の工程を通して、自然と助け合いの空気が生まれ、子ども同士の信頼関係も深まっていきます。

味付けは、子どもたちの自由な発想に任されています。だからこそ、日によって味のばらつきはあります。でも、それこそが料理の醍醐味。自分たちで考え、試してみることで、想像力や判断力が育まれていくのです。

そして何よりも大きな変化は、「自分が作った料理を仲間が食べてくれる」「美味しいと言ってもらえる」という体験です。これは、子どもたちにとって大きな成功体験となり、自己肯定感を育てるきっかけになります。誰かのために作ったものが喜ばれる――その喜びは、言葉では言い表せないほどの力を持っています。

料理は、単なる生活スキルではありません。心を育て、考える力を養い、自信を積み重ねる大切な学びの場です。チャレンジスクールでは、そんな“食”の時間を通して、子どもたちが自分自身と向き合い、仲間と支え合いながら成長していく姿が日々見られます。

「うちの子に包丁なんて握れるのかな…」と不安に思われる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。でも、子どもたちは驚くほどの力を持っています。ほんの少しのきっかけと、温かい環境があれば、その力は必ず花開きます。

チャレンジスクールの寮生活は、そんな“気づき”と“成長”の連続です。食事づくりを通して、子どもたちが自分を好きになっていく――そんな瞬間を、私たちは大切にしています。