📝 「今日という日が、誰かの“はじめの一歩”になる」—静岡県学力調査テストに寄せて—

今日は静岡県内の中学生たちにとって、特別な一日です。
県全体で行われる学力調査テスト。とりわけ中学3年生にとっては、受験を目前に控えたこの時期、これまでの努力が試される節目でもあります。
朝の教室には、いつもより少し張り詰めた空気が漂っていました。鉛筆を握る手が汗ばみ、問題用紙を前にした瞳が真剣そのもの。
「できるかな…」という不安と、「やってきたことを信じたい」という期待が、子どもたちの胸の中でせめぎ合っているのが、見ているこちらにも伝わってきます。
でも、今日という日は、単なる“テストの日”ではありません。
それは、長い間不登校だった子が、何年ぶりかに「テストを受ける」という決断をした日でもあるのです。
その子は、朝から緊張で顔がこわばっていました。
「本当に受けられるかな…」と何度もつぶやきながら、それでも制服に袖を通し、寮の仲間たちと一緒に教室へ向かいました。
その姿は、まるで小さな冒険に出る勇者のようで、私たちスタッフは胸がいっぱいになりました。
結果がすべてではありません。
点数や順位よりも、今日この場に立ち、問題に向き合ったことこそが、かけがえのない一歩なのです。
それは、本人にとっても、そして見守る保護者の皆さまにとっても、涙が出るほどの成長の証です。
テストが終わった後、彼は少し照れくさそうに「全部はできなかったけど、最後まで座っていられた」と話してくれました。
その言葉に、私たちは思わず涙ぐみました。
“座っていられた”という事実が、どれほどの勇気と覚悟を必要としたか、私たちは知っているからです。
保護者の皆さまへ。
今日、子どもたちはそれぞれのペースで、精一杯の挑戦をしました。
その姿は、決して点数では測れない、心の成長そのものです。
どうか、結果だけにとらわれず、「今日、テストを受けた」という事実を、たくさん褒めてあげてください。
そして、もし今日、涙を流した子がいたなら、それは悔しさでもあり、前に進みたいという気持ちの表れです。
その涙を、どうか温かく受け止めてあげてください。
今日という日が、誰かにとっての“はじめの一歩”になりますように。
私たちは、これからも子どもたちの挑戦を、全力で支えていきます。