新学期、学校に行きたくない子どもに親ができることとは?

新学期を迎える際、「学校に行きたくない」と子どもが口にするのは珍しくありません。環境の変化に敏感な子どもほど、不安や緊張を抱えやすくなります。そして、登校をためらう理由は子どもによって異なります。大切なのはお子さんの悩みを聞いた際に親がどのように向き合うかです。対応次第でお子さんの気持ちや行動は大きく変わってきます。
本記事では、子どもが学校を拒む理由とその背景を理解しながら、親としてできる具体的なサポート方法をわかりやすく紹介していきます。
新学期に「学校に行きたくない」と感じる理由は?
新学期が始まるタイミングは、多くの子どもにとって大きなストレスを伴います。特に生活リズムの変化や環境の変動、人間関係の再構築など複数の要因が重なると「学校に行きたくない」と感じやすくなりがちです。ここでは、主な理由を4つに分けて解説します。
クラス替えによる不安
クラス替えで仲の良い友達と離れると、子どもは急に孤独を感じやすくなります。加えて、新しい環境でどのように振る舞えばよいか分からず、不安が膨らみがちです。とくに繊細な子ほど、その変化に心がついていけなくなってしまいます。
朝起きるのがつらい
長期休みにより生活リズムが乱れ、朝の起床がつらくなる子も多くいます。そのまま生活リズムを取り戻せず眠気やだるさが続いてしまうと登校への意欲が下がり、「学校=しんどい場所」の印象が強まってしまいます。
人間関係の悩み
友達との関係に悩んでいたり、担任の先生との相性に戸惑っていたりする場合、登校自体が心理的に重くなります。一見表に出にくい悩みほど子どもにとって深刻で、親にも気づかれにくいため特に注意が必要です。
学習内容が難しくなることへのプレッシャー
新学期から授業内容が難しくなると考え、「ついていけないかも」と不安が強くなる子どもも多くいます。文部科学省の調査によれば、「最初のきっかけとは別に、学校に通うのが難しくなった理由があるか」(複数回答可)という質問に対して「ある」と答えた児童・生徒の中で、最も多かった回答は「勉強が分からない」であり、小学生では31%、中学生では42%がこれを理由に挙げています。
参照:不登校に関する基礎資料
「学校に行きたくない」と言われた時の親の心構え
突然子どもから「学校に行きたくない」と言われると、多くの人は戸惑い、不安や焦りを感じるものです。しかし、その際の親御さんの対応がお子さんの心に大きな影響を与えていくのを忘れてはいけません。それでは親御さんはどのように心構えをしておくべきかを解説します。
まずは「話してくれてありがとう」の姿勢を
お子さんが親御さんに気持ちを打ち明けてくれるのは、親御さんを信頼している証に他なりません。そのため、その思いに寄り添う言葉や姿勢を見せ、安心感を与えましょう。「勇気を出して話してくれてありがとう」「あなたの気持ちを聞くよ」など、受け入れる姿勢が信頼関係を育てる第一歩になります。
解決よりも共感を優先する
お子さんの話を急かしたり、焦ってその場しのぎの解決策を出そうとしたりするのは良くありません。お子さんのペースで話をさせ、「そう感じているんだね」など共感の言葉を使いながらじっくりと話を聞いてあげましょう。焦らず子どもの心に寄り添うと、お子さんも安心して本音を話してくれます。
焦らず落ち着いて話を聴く
話を聞く環境をきちんと整えましょう。話す時間をたっぷりととるのはもちろん、テレビやスマホが無く静かな場所を確保して話すのが大切です。その上でお子さんと目線を合わせ、うなずきや相づちで関心を示しつつ話を聞いてあげると、子どもは「自分の話をちゃんと聞いてもらえている」と感じ、心を開きやすくなります。
親自身の心の余裕も大切に
お子さんの話を受け止めてあげるためには、まず親御さん自身の心を落ち着かせてからでないといけないでしょう。心の余裕が無くてはお子さんの話をきちんと受け止めるのも難しくなります。
心の余裕を持つために知ってほしいのは、子どもが学校へ行きたくないのは珍しくなく、どの家庭にも起こり得ることです。そしてそれはお子さんのせいでも親御さんのせいでもありません。
こちらを念頭に置いておきましょう。学校へ行くか行かないかではなく、お子さんにより適した学びの場を「周囲が与えられるか」「本人が受け止めることができるか」が大事です。そのため、まずは子どもと話し、子どもにとって最も適した学びの形を探ろうと心掛けましょう。この方が長期的にはお子さんの力となり、根本的な解決につながります。
学校を休んだ子どもへの接し方
ここまで親御さんがお子さんと話す上での心構えをお話しました。子どもが学校を休んだとき、親の接し方次第でその後の回復のスピードは大きく変わると分かったかと思います。ではそれを踏まえた上で、具体的にどのようにお子さんと接していけば良いのでしょうか。そのポイントを解説します。
子どもの気持ちや休んだ理由を否定しない
どんな理由や意見であっても、まずは否定せず全て受け止める姿勢が大切です。否定されると子どもは「親は自分の味方ではない」と感じ、心を閉ざしやすくなります。「話してくれてありがとう」「休んでも良いんだよ」と伝えてあげると信頼関係が深まり、安心感が生まれます。
無理に登校させない
不安な気持ちを抱えたまま登校を強いられると、子どもの心はさらに傷ついてしまいます。なので、不安や焦りの気持ちは分かりますが、まずは休ませてあげるのが大切です。不安要素となる事柄から物理的に遠ざけてあげて、子どもの心の回復を優先するのが根本的解決への近道になります。
友達やきょうだいと比較しない
「お友達は元気に学校に行ってるのに」「兄弟なのにどうしてこんなに違うのか」などの比較は、子どもの自己肯定感を大きく傷つけ、劣等感を抱かせてしまいます。誰とも比べず、お子さん自身のペースで進めるのを認めてあげると、ゆっくりと自信を取り戻す土台が築かれていきます。
子どもの興味や関心を尊重する
好きなことに夢中になれる時間は子どもにとって癒しとなり、心の回復に効果的です。鉄道、読書、創作活動など、1人でできるもので良いでしょう。次第に気持ちが明るくなり、自己肯定感を高められます。
また、もし興味や関心のある活動を通して自己表現ができれば、同じ趣味の人とのコミュニケーションが生まれ、新たな居場所づくりにも繋がる可能性もあります。
子どもが安心できる環境づくりを心がける
「ここにいて大丈夫」と思える家庭の存在が、何よりも子どもの支えになります。そんな安心できる家庭を作るためにも、まずは親御さんがお子さんの感情を受け入れる姿勢を見せましょう。その上で心が落ち着ける空間と雰囲気を整えると、徐々に子どもは次のステップへ進む準備を始められます。
関連記事:新学期の不安を和らげる!子どもを支える親の心得について詳しく解説!
学校との連携で解決策を見つけるポイント
お子さんの「学校へ行きたくない」悩みは、家庭だけで解決するのは難しいものです。そのため、悩みを抱え込まず適切な場所で相談をするのが大切となります。その相談先としてまず挙がるのはやはり学校でしょう。学校と協力すれば解決策が見つかる可能性が高まります。それでは、学校へ相談する際のポイントを解説します。
違和感を覚えたら、早めに学校へ相談を
子どもの様子に変化を感じたら、お子さんとの話し合いで双方が納得した上で、できるだけ早い段階で学校に連絡しましょう。家での様子や困りごとを伝えれば学校側もクラスでの対応や支援の調整がしやすくなります。短時間登校や別室対応など、柔軟な選択肢が生まれるきっかけにもなります。
担任やスクールカウンセラーとの面談を活用する
担任の先生は日頃からお子さんの様子をきちんと観察しているので、学校での様子を聞かせてくれたり、相談できる場を設けてくれたりする可能性があります。担任の先生とは日頃から関係を築いておくとよいでしょう。また学校に常駐するスクールカウンセラーに相談するのも選択肢の1つです。
スクールカウンセラーは子どもや保護者の気持ちに寄り添い、専門的な視点でサポートを行います。定期的な面談を通じて、子どもの心の状態や希望を共有でき、担任との連携もスムーズに行ってくれるでしょう。家庭と学校の橋渡し役として心強い存在です。
子どもの個性に合わせた柔軟な対応を
「学校へ行きたくない」問題はすぐに解決できるものではありません。そのため長期的な視点を持ち、一人ひとりの性格や状況に合わせた段階的な登校支援や学習フォローを行うことが求められます。そのため定期的に状況を振り返りながら、必要に応じて保健室登校や別室対応などの選択肢も視野に入れるなど、柔軟に対応できるよう学校側と連携すべきでしょう。
それでも学校に行きたくない場合は、学校教育以外の選択肢も
学校に通うことがすべてではありません。どれだけ努力しても登校が難しい子どもには、学校以外の学びの場を選ぶという選択肢もあります。それぞれの子に合った環境を見つけることが、前に進む第一歩となるでしょう。ここでは、学校以外の選択肢についてご紹介します。
ホームスクーリング(自宅学習)
家庭を拠点とし、子どものペースに合わせて学習を進める方法です。家族で時間を共有しながら学べる点が特徴で、学びに対するプレッシャーが軽減されます。
もしホームスクーリングを始めたいと考える場合は、まず情報収集を行う方が良いでしょう。メリットやデメリットはもちろん、学習法や接し方などを知れば具体的なイメージもつきやすいです。記載されているアドバイスを取り入れながら行えば継続しやすくなります。
通信制・オンラインスクール
自宅のパソコンから授業を受けられるため、親のそばで安心して学習に取り組める環境を作れます。通学が難しい子どもでも、自分のペースで学びを続けられる点、フリースクールが近くにない方も利用しやすい点が魅力です。今後はオンラインの選択肢がますます拡充されると予想されており、需要も高まっています。
教育支援センター
教育支援センターとは、市町村や都道府県の教育委員会などが主催している学校への復帰や自立をサポートするための施設です。学習支援だけでなく、コミュニケーションや自立に向けた支援も受けられるため、学校復帰への足がかりとなる可能性があります。
全寮制フリースクール
自宅学習や通信制、教育支援センターでは一時的な対応にとどまり、根本的な変化につながらないこともあります。医療機関や専門家に相談しても改善が見られないケースでは、生活環境ごと切り替えられる全寮制フリースクールが、大きな転機となる可能性があります。
全寮制フリースクールでは、日常生活と学びを一体化させた環境があり、子どもが安心して自立を目指せる場です。常駐スタッフによる24時間の生活サポートが整っており、お子さんの生活を支えてもらえます。また親元を離れて寮で生活するため、お子さんの自己管理能力や自信が育まれるなどの特徴があります。
関連記事:全寮制フリースクールについて
新学期に学校に行きたくないときは無理せず行かせないことが大切!
子どもが「学校に行きたくない」と感じたとき、無理に登校させることが必ずしも解決につながるわけではありません。まずは安心して休める環境を整えることが大切です。
チャレンジスクールでは、親御さんに代わって子どもたちの生活を見守り、自然体験や集団生活を通して社会性や自己肯定感を育てます。規則正しい生活の中で学ぶ意欲も少しずつ取り戻せるようサポートします。学び直しや目標の再設定ができる環境で、これまで1800件以上のサポート実績があります。まずは、お気軽にご相談ください。