スクール便り

近年、不登校の中学生が増加している現状は、多くの家庭や学校にとって重要な課題となっています。不登校はさまざまな要因で引き起こされる複雑な問題であり、学習や学校生活への気力低下、家庭環境、いじめ、健康上の問題などが主な原因として挙げられます。

その一方で、親が適切に対応し、子どもに寄り添うことで、彼らが再び前向きに人生を歩むための助けとなることも可能です。本記事では、不登校の中学生の現状を把握し、その原因や親が取るべき対応策、さらに再起を目指すための手段について具体的に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

不登校の中学生はどのくらいいる？

文部科学省の調査によれば、令和5年度の不登校児童生徒数は過去最高の34万人※に達しました。このうち中学生が占める割合は約21万人で、全体の約6割に上ります。特に「やる気が出ない」「学校生活に対する気力の低下」が主要な要因として挙げられており、これが不登校を引き起こす大きな要素となっています。

不登校の原因は複合的で、学業、家庭環境、いじめ、健康問題、さらにはコロナ禍による生活リズムの乱れやゲーム依存など、多岐にわたります。これらの問題が絡み合う中で、子どもたち一人ひとりに寄り添い、具体的な対応を考えることが必要です。

参照：令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

中学生が不登校になる原因

不登校の原因は多岐にわたりますが、主に学習意欲の低下や家庭環境の影響、いじめ、健康上の問題などが挙げられます。それぞれの要因は単独で発生することもあれば、複合的に絡み合って子どもを学校から遠ざける場合もあります。文部科学省の報告によると、全国で34万人以上の中学生が不登校となっており、具体的な原因と対策を知ることが重要です。

学習や学校生活への気力低下

中学生の不登校理由として最も多いのが、学習意欲の低下です。授業内容が理解できない、宿題が多すぎるといった学業への負担感が原因となることが多く見られます。また、「やる気が出ない」「学校がつまらなくて無気力」といった声も教育現場でよく耳にします。

これに加えて、ゲームやスマホの長時間使用による昼夜逆転が生活リズムの乱れを引き起こし、学校生活を送る気力を奪っています。

例えば、ある生徒はゲーム課金のトラブルを家庭内で抱え、それが学習意欲の喪失へと繋がったケースがありました。こうした問題を防ぐには、家庭内でのルール作りや定期的な学習サポートが効果的です。

家庭環境

家庭環境も中学生の不登校に影響を与えます。家庭内の不和や親の過剰な期待、逆に無関心が子どもにストレスを与えることがあります。また、親の過干渉や厳しすぎるしつけがプレッシャーとなり、子どもの自己肯定感を損なう場合もあります。

例えば、両親が離婚し、その影響で生活環境が大きく変わった子どもが、不登校となったケースが報告されています。この場合、子どもが安心できる家庭環境を整え、親が気持ちに寄り添うことが大切です。

いじめ

いじめは中学生が不登校になる大きな要因の一つです。文部科学省のデータによると、いじめの認知件数は年々増加しており、特に中学生において深刻です。1年生が最も多く、学年が上がるにつれて減少しますが、悪口や冷やかし、軽い暴力などの態様が多く、不登校を引き起こす要因となっています。

例えば、クラス内で特定の生徒をからかう言葉や態度が続くことで、被害を受けた生徒が精神的な負担を感じ、学校生活への意欲を失うケースが見られます。このような環境では学校に通い続けることが困難になります。いじめが不登校の原因になり得るため、早期の発見と適切な対処が不可欠です。学校や保護者が協力して子どもの心のケアに取り組む必要があります。

健康上の問題

身体的・精神的な健康問題も不登校の要因となります。不安障害や抑うつ、発達障害が学校生活に影響を及ぼし、子どもが安心して通学できなくなるケースがあります。また、長期的な体調不良が続くと、それが心の健康にも悪影響を与えることがあります。

例えば、微熱や頭痛が頻繁に続くために登校を控える生徒もいます。このような場合、医療機関での早期診断や適切な治療が必要です。また、心の健康を守るため、スクールカウンセラーや専門家の支援を受けることも有効でしょう。

不登校の中学生の親がすべき対応

不登校が社会問題として認識される中、親の役割はますます重要になっています。不登校の中学生に寄り添い、再起を目指すためには、適切な対応が必要です。以下に、不登校の中学生の親が実践すべき具体的な対応方法をご紹介します。

しっかり寄り添い話を聞いてあげる

親が最初に行うべきことは、子どもの気持ちを受け入れることです。学校に行きたくない理由を無理に詮索するのではなく、子どもが安心して話せる環境を整えることが大切です。

たとえば、子どもが「学校に行きたくない」と言った場合、否定せず、「どうしてそう思うの？」と穏やかに質問し、話を聞き出すよう努めましょう。話を聞くことで子どもは自己肯定感を得られ、不登校の原因を共有できる場合があります。

親が話を聞き、子どもに寄り添う姿勢を見せることで、子どもは「理解されている」と感じ、次の一歩を踏み出しやすくなります。

興味のあることに取り組ませる

不登校の中学生は、何らかの興味を持つ活動を通じて自己を表現する機会が必要です。ゲームやアート、音楽、スポーツなど、子どもが夢中になれるものを見つけ、その活動を支援しましょう。

たとえば、ゲームに熱中している子どもには、その分野でスキルを活かす学びの場を提供するのも効果的です。ゲームプログラミングの教室に通わせたり、関連する読書を勧めたりすることが考えられます。

興味のあることに取り組むことで、子どもは自己肯定感を高め、学びへの意欲を取り戻す可能性があります。

学校やカウンセラーに相談する

専門家の意見を取り入れることも重要です。スクールカウンセラーや教育相談所は、不登校問題に関する専門知識を持っています。親子だけでは解決できない問題も、第三者を介することで新しい解決策が見つかる場合があります。

たとえば、学校側に定期的な連絡を取り、授業内容や学校行事についての情報を共有してもらうことで、子どもが学校とのつながりを少しずつ取り戻せるようになるかもしれません。

カウンセラーや学校との連携は、問題解決の道筋を示してくれる重要な支えとなります。

健康管理をする

不登校の中学生の多くは、心身の健康問題を抱えている場合があります。親は子どもの体調を注意深く観察し、必要に応じて医療機関を受診することが必要です。

特に昼夜逆転が見られる場合、生活リズムを整えるために、朝日を浴びる時間を増やしたり、規則正しい食事を心がけたりするよう努めましょう。心理的なストレスがある場合には、専門の医師や心理士に相談することも選択肢の一つです。

子どもの健康が改善されれば、前向きに行動するための基盤が整います。

一緒にリフレッシュする

家族での楽しい時間を過ごすことは、子どもの気分転換につながります。旅行や自然散策、趣味を共有するアクティビティなど、親子でリフレッシュできる時間を設けることが大切です。

たとえば、週末に自然公園へ出かけて散歩をしたり、料理や工作などの家庭内での活動を一緒に楽しむことが効果的です。これにより、子どもは孤立感を感じにくくなり、家庭を安心できる居場所と感じることができます。

不登校の中学生が再起を目指すためには？

不登校の中学生が再び前を向き、自分のペースで新たな一歩を踏み出すためには、具体的な行動や支援が大切です。環境を変える方法や、学びや将来に向けた新しい目標を持つことが、不登校からの再起に役立ちます。

転校して環境を変える

環境を変えることは、心機一転して前に進むきっかけとなります。特に、不登校の原因がいじめや人間関係の場合、新しい環境はストレスの軽減や新たな人間関係の構築につながります。

例えば、ある中学生が転校を決意し、新しい学校で少人数制のクラスに入ったところ、以前とは違う配慮ある環境の中で学びを再開することができたケースがあります。このように、転校は過去の問題から距離を置き、学びや生活の再出発を可能にします。

環境の変化は、新しい経験や出会いを通じて自己肯定感を高める効果も期待できます。適切なタイミングでの転校は、本人と家族にとって大きな一歩となるでしょう。

フリースクールに入寮する

フリースクールは、不登校の子どもたちが自由で柔軟な環境の中で学び、成長できる場所です。従来の学校とは異なり、個々のペースに合わせた学習や体験活動を提供しており、子どもたちが自信を取り戻しやすい仕組みが整っています。

たとえば、あるフリースクールでは、週に数日だけ登校することやオンライン授業を選択できる制度があり、昼夜逆転の生活を送っていた生徒が少しずつ生活リズムを整えることができました。また、興味関心を尊重する授業内容が、ゲーム課金に熱中していた生徒にとって新たな目標設定のきっかけとなった事例もあります。

フリースクールは、通常の学校にはない柔軟性とサポート体制を提供することで、子どもたちが安心して学べる環境を提供します。

進学や就職など人生の目標を決める

目標を持つことは、困難を乗り越える原動力になります。進学や就職といった具体的な目標が定まれば、それに向けた努力が生活リズムを整える助けとなり、社会復帰の道筋が見えやすくなります。

例えば、不登校期間中に興味を持った分野での進学を目指したり、アルバイトを通じて将来やりたい仕事を見つけるケースがあります。こうした目標設定は、「自分にもできることがある」という前向きな感情を生み出し、自信を育むきっかけとなります。

適切な支援やアドバイスを受けながら、子どもが主体的に進路を決めることが大切です。

不登校であることを悲観しないようにする

不登校の経験をネガティブに捉えるのではなく、新しい成長の機会と考えることが大切です。不登校は誰にでも起こり得ることであり、それ自体が失敗ではありません。

例えば、「自分には向いていない場所だっただけ」と受け止め、新しい学びの環境を探し始めた中学生がいます。このように、不登校を人生の学びの一部と捉えることで、自己肯定感を取り戻しやすくなります。

家族や周囲の大人も、不登校経験を通じて得たことを認め、本人を励ますことが必要です。「今の自分でも大丈夫」という安心感が、次の一歩を踏み出す力につながります。