新学期、友達ができない子どもへの親の接し方とは?

新学期やクラス替えのタイミングで、友達ができないことに悩むお子さんは少なくありません。環境の変化に戸惑い、不安や緊張を抱えている場合もあります。親としてできるのは、子どもの気持ちに寄り添いながら適切なサポートをすることです。本記事では、友達づくりが苦手な子どもの特徴や、接し方のポイントを紹介します。
友達づくりが苦手な子どもの特徴
新学期やクラス替えなどの環境の変化は、子どもにとって大きなストレスとなることがあります。特に、コミュニケーション面に不安を抱える子どもにとっては、友達づくりがより一層難しく感じられます。ここでは、友達づくりが苦手な子どもに見られる特徴をご紹介します。
自分から声をかけるのが苦手
相手に話しかけることに強い不安を感じているケースがあります。このような子どもは、「話したい」との気持ちがあっても、断られることへの恐れから動けなくなることがあります。
教室でも一人で静かに過ごす傾向が見られますが、これは必ずしも無関心なわけではありません。無理に「話しかけてみよう」と背中を押すよりも、家庭内で会話の練習をするほうが安心につながります。安心できる関係の中で会話を経験することが、第一歩です。
自分の気持ちをうまく言葉にできない
感情を言葉にする力が弱いと、誤解が生まれやすくなります。自分の気持ちを伝えられないことで、相手との間にすれ違いが起こる場合があります。
特に新しい環境では、そのような戸惑いが強まります。日常の会話で「どんな気持ちだった?」と声をかけ、少しずつ表現力を伸ばしていきましょう。気持ちを表現する力を育てることで、友達関係も築きやすくなります。
友達の気持ちをくみ取るのが難しい
相手の気持ちや状況を読み取ることに苦手さを感じている子もいます。そのため、相手が不快に感じていることに気づけなかったり、空気を読むのが難しかったりする場面があります。本人に悪気はなくても、周囲から「自分勝手」と受け取られることも少なくありません。
少人数での関わりを通して、他者との距離感を学ぶ機会を持つことが効果的です。経験を重ねることで、少しずつ人との関わり方を理解できるようになります。
自分の思いを強く出しすぎてしまう
自分の気持ちを優先しすぎる傾向が見られる子もいます。結果として、相手の意見を聞かずに進めてしまい「わがまま」と思われることも少なくありません。これは、他人との関係性の中で「調整する経験」が不足しているためです。
保護者は「それじゃダメ」と否定するのではなく、「どうすればうまくいくか」を一緒に考える姿勢が大切です。他者との違いを受け入れる力を育てることが、関係性を良くするポイントになります。
1人で過ごすのが好き
1人の時間を大切にすることは、決して悪いことではありません。その子にとっては、自分のペースで過ごせる時間こそが安心材料になっている場合があります。周囲と比べられて「友達がいないのは変だ」と言われると、逆に自信を失ってしまうので気をつけましょう。
そのため、本人の気持ちに寄り添いながら見守る姿勢が求められます。無理に集団に入れようとせず、その子らしさを尊重することが何よりも大切です。
無理に友達をつくらなくても大丈夫!
新学期に友達ができないと、親としては心配になります。ですが、誰にでもすぐ友達ができるとは限りません。交友関係を無理に広げる必要はありません。大切なのは、本人が安心して学校生活を送れているかどうかの視点です。親が「今のままでもよいんだよ」と伝えることで、子どもは自分を受け入れやすくなります。
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友達ができない子にNGな親の声かけ例
親の一言が、子どもの心を大きく揺さぶることがあります。何気ない声かけでも、気づかぬうちにプレッシャーをかけてしまう場合があるため注意が必要です。以下に紹介する3つの言葉は、避けたほうが良い表現です。
「新しい友達はできた?」
この問いかけは、子どもに無言のプレッシャーを与える可能性があります。親としては何気なく聞いたつもりでも、子どもは「早く友達を作らないといけない」と感じてしまいがちです。結果ばかりを気にするようになり、本音を話しづらくなることも考えられます。
日々の変化を丁寧に聞き取ることが、信頼関係の土台になります。「今日はどんな時間を過ごしたの?」などの質問に言い換えることで、自然と会話が広がりやすくなります。
「もっと積極的に」
この言葉は、子どもの性格を否定する印象を与えかねません。内向的な子どもにとって、「積極的になること」は簡単なことではありません。努力しても思うようにいかず、自己否定につながる恐れもあります。
まずは今の子どもを受け入れる姿勢が大切です。「自分なりに頑張ってるんだね」と共感しながら、本人のタイミングで踏み出せるようサポートしましょう。
「○○ちゃんは友達が多いのに」
他人との比較は、子どもの心に深い劣等感を生み出します。誰かと比べる声かけは、親の期待とは裏腹に子どもを追い詰めるきっかけになります。「どうせ自分なんて」と感じるようになると、自己肯定感が低下しやすくなります。
比較ではなく、子どもの中にある小さな前進や努力を見つける視点が大切です。「あなたはあなたのままでいいよ」の言葉が、安心につながっていきます。
友達づくりのポイント
新学期はクラス替えもあり、子ども同士の関係が一からスタートします。この時期は、誰もが少し緊張しており、声をかけられるのを待っていることも少なくありません。友達づくりは特別なスキルではなく、日常の小さな行動から始められます。親が基本のポイントを伝えることで、子どもの背中をそっと押すことができます。
自分から挨拶してみる
自分から声をかける姿勢が、友達関係のきっかけを作ります。最初の一言を交わせるかどうかは、関係づくりに大きな意味を持ちます。特に新学期は、相手も話しかけられるのを待っていることが多いです。
緊張していても、笑顔で「おはよう」と挨拶するだけで印象が変わります。言葉に出すことで、周囲から話しかけられやすくなります。小さな一言が信頼への第一歩になります。
共通の話題を見つける
同じことに興味があると、自然と会話が生まれやすくなります。会話を始めるのが難しいと感じるときは、共通点を探すことが効果的です。たとえば、好きなテレビ番組やゲーム、クラブ活動など、身近な話題なら話しかけやすくなります。席が近い子には授業の内容や文房具の話もおすすめです。共通の話題があることで、会話はぐっとスムーズになります。
小さな頼み事を通じて会話を始める
軽い頼みごとは自然な会話の導入になります。「消しゴム貸してくれる?」「ここって何ページ?」などの簡単なお願いから、やりとりが始まることがあります。頼られた相手も、悪い気はしません。会話のきっかけをつくるのにちょうどよく、繰り返すうちに少しずつ距離が縮まっていきます。さりげない頼み事が、友達づくりの第一歩になります。
悪口や陰口は言わない
誰かを傷つける言動は、友達との信頼を壊してしまいます。場を盛り上げるつもりでも、他人の悪口や陰口は避けましょう。一時的に共感が得られても、後々「この子は自分の悪口も言っているかも」と思われてしまうことがあります。周囲からの信頼を失う原因にもなりかねません。誠実な言動を心がけることが、信頼関係を築く土台になります。
「ありがとう」と「ごめんなさい」は素直に言葉で伝える
気持ちを伝える基本は、感謝と謝罪の言葉です。人と関わる中で、感謝や謝罪を言葉にすることはとても大切です。たとえ小さなことでも、「ありがとう」「ごめんね」と伝えられる子は、まわりから信頼されやすくなります。思っているだけでは、相手には伝わりません。素直な言葉が、人とのつながりを深める力になります。
子どものコミュニケーション力を高める方法
友達をつくるには、子ども自身のコミュニケーション力が欠かせません。この力は、自然に育つものではなく、日々の関わりの中で少しずつ身になっていきます。親子のやり取りを通して、安心して話せる経験を重ねることが、子どもの対人関係の土台となります。
日常生活の中に小さな工夫を取り入れながら、子どもが自信を持って人と関われるようサポートしていきましょう。
子どもの話を最後まで聴く
子どもが話すときは、最後まで耳を傾ける姿勢が大切です。話の途中で遮られると、自分の思いが受け入れられていないと感じるようになります。すると、話す意欲そのものが失われてしまうことも少なくありません。
親がしっかり目を見て、相づちを打ちながら聞いてくれると、子どもは安心します。「ちゃんと聞いてくれている」と実感できることで、自分の考えや気持ちを言葉にする力が自然と育ちます。
子どもの意見を否定しない
子どもの言葉をまず受け止める姿勢が、安心して話せる環境づくりにつながります。否定されたと感じると、「どうせ言っても無駄」と心を閉ざしてしまう可能性があります。意見が少し違っていても、「そう思ったんだね」と共感から入ることで、安心して話しやすくなるでしょう。
たとえば「今日は学校に行きたくなかった」と言われたときも、「そうなんだ」と受け入れることで、気持ちを言葉にする練習につながります。親の優しい反応が、子どもに自信を持って伝える力を育てます。
絵本の読み聞かせをする
絵本を読むことは、他人の気持ちを想像する力を育てます。物語を通して、さまざまな立場や感情に触れることができるからです。登場人物がどんな気持ちだったのか、子ども自身が考えることで、共感力が自然に養われていきます。
さらに、静かに聞く時間を持つことで、集中力や言葉の理解も深まります。読み聞かせの時間は、親子の信頼関係を育む貴重なひとときにもなります。心を通わせる経験が、友達との関係を築く第一歩になります。
質問を投げかけて思考を促す
「どう思った?」「なんでそう思ったの?」などの質問は、子どもの考える力を引き出します。問いかけられることで、自分の気持ちや理由を整理し、それを言葉にする力が鍛えられていきます。
ポイントは、正解を求めるのではなく、考える過程を大切にすることです。子どもの答えに耳を傾けることで、信頼関係も深まります。自分の考えを自信を持って伝える経験が、友達とのやり取りにもつながっていきます。
親が手本を示す
大人が普段どのように人と接しているかは、子どもにとって大きな影響を与えます。「おはよう」「ありがとう」「ごめんね」などの言葉を親が自然に使っていれば、子どもも真似をするようになります。
また、感情的な場面でも冷静に言葉で伝える姿勢を見せることで、子どもは状況に応じた伝え方を学んでいくでしょう。家庭内で自然に触れる言葉や態度が、子どものコミュニケーション力の基礎になります。
寄り添う姿勢が、子どもの支えになる
子どもが安心して本音を話せるようになるには、親の寄り添う姿勢が欠かせません。感情を否定せずに受け止めることで、「分かってくれる人がいる」と感じられ、心が安定します。
子どもが「友達できない」と打ち明けたときに、「そう思ったんだね」とそのまま受け止めてあげると、子どもは少しずつ気持ちを整理できます。「あなたの気持ちを大事に思っているよ」の姿勢が、子どもにとって何よりの安心材料になります。
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新学期で友達ができなくても焦らないことが大切
新学期は誰にとっても緊張する時期です。特に友達関係に不安を感じる子どもにとっては、大きなストレスになります。しかし、すぐに友達ができなくても心配しすぎる必要はありません。親が「今はそのままで大丈夫」と伝えることで、子どもは安心して過ごせます。
チャレンジスクールでは、そうした不安に寄り添いながら、一人ひとりに合ったサポートを行っています。友達関係や登校への不安がある場合は、まずはお気軽にご相談ください。