「疲れた、学校に行きたくない」時は?|ストレスから自分を守ることは大切

お子さんが「疲れた、学校に行きたくない」と言い出したとき、親としてどう対応すればよいのか悩むことはありませんか?無理に登校させるべきか、それとも休ませるべきか、不安になることもあるでしょう。
しかし、不登校は珍しいことではなく、背景には人間関係や学業の負担などさまざまな要因が潜んでいます。親が焦ると、子どもの気持ちに寄り添う余裕を失いがちです。本記事では、不登校の原因や親としてできる対応策、支援の選択肢を解説します。お子さんが安心できる環境をつくるために、できることから始めてみましょう。
「疲れた、学校に行きたくない」と感じるのはなぜ?
お子さんが「学校に行きたくない」と言う背景には、さまざまな要因が考えられます。単なるわがままではなく、精神的・身体的な負担が影響していることが多いでしょう。無理に登校させる前に、お子さんがどのようなストレスを抱えているのかを知ることが欠かせません。ここでは、不登校につながる主な原因を解説します。
学校の人間関係によるストレス
学校生活では、友人関係が大きな影響を与えます。友達とうまくいかない、グループに馴染めない、孤立してしまう問題は、子どもにとって強いストレスとなるでしょう。特に、仲間外れやいじめに発展すると、学校へ行くこと自体が苦痛になってしまいます。
また、些細なトラブルでも、子どもにとっては深刻な悩みになりかねません。「昼休みに一緒に遊ぶ相手がいない」「LINEのグループに入れてもらえない」などの小さな出来事が積み重なると、不安が募ります。こうした状況が続くと、「学校に行くのが怖い」「教室にいるだけで苦しい」と感じるようになり、不登校のきっかけになるかもしれません。
勉強へのプレッシャー
学業の負担も、不登校につながる要因の一つです。授業についていけない、テストの点数が悪い、宿題が多すぎるなどのことが重なれば、学校生活が辛くなるでしょう。
特に、小学校高学年から中学生にかけては、学習内容が難しくなり、成績の差がはっきりしてきます。親や先生に期待されることで、「勉強ができない自分はダメだ」と自己肯定感が低下し、学校を避けるようになることも少なくありません。
また、受験期にはプレッシャーがさらに強まり、思うように成績が伸びないと「努力しても無駄なのでは」と感じることもあります。このような状況が続けば、学校に行くこと自体が大きなストレスになってしまいます。
学校の先生との相性
教師との関係が不登校のきっかけになることもあります。先生が厳しすぎる、話を聞いてくれない、理不尽な叱責を受けると、子どもは学校を「安心できる場所」とは思えなくなることも少なくありません。
また、授業中に指されて答えられなかったときに怒られたり、間違いを指摘されて恥ずかしい思いをしたりすると、学校に対して苦手意識を持つこともあります。「先生が怖い」「授業中に当てられるのが嫌だ」と感じることが積み重なれば、登校を拒むのも無理はありません。
家庭環境が及ぼす影響
家庭環境も、不登校に大きく関係することも少なくありません。親の期待が高すぎたり、厳しく叱られたりすると、子どもは「学校でうまくやらなければならない」とプレッシャーを感じるでしょう。
また、家庭内の雰囲気が悪い場合も影響は避けられません。例えば、両親の不仲や経済的な不安があると、子どもは無意識のうちにストレスを抱え、学校に行く気力を失うことがあります。親が忙しく、子どもの悩みを聞いてもらえない状況も、精神的な負担になりかねません。
関連記事:不登校の主な原因は?起こり得るケースや対策、ケア方法を解説
不登校やいじめが影響を及ぼした事件
不登校やいじめは、子どもだけでなく家庭全体に深刻な影響を及ぼすことがあります。特に、問題が長期化し、周囲の適切な支援を受けられない場合、思いもよらぬ悲劇に発展することもあるでしょう。ここでは、実際に発生した事件をもとに、不登校やいじめの深刻さを考えます。
海老名市で起きた母親が不登校の子ども3人を殺めた事件
2024年12月、神奈川県海老名市で、母親が3人の子どもを殺害した後、自ら命を絶つという痛ましい事件が発生しました。亡くなったのは、中学3年生の長女、中学1年生の次女、小学4年生の長男で、不登校の状態にあったとされています。
家庭内では問題を抱えていたものの、外部からの支援を受けることが難しかった可能性が指摘されています。母親は孤独の中で悩みを抱え続け、結果として取り返しのつかない選択をしてしまったのでしょう。
いじめを受けていた法政大学生が起こしたハンマー殴打事件
2025年1月、東京都で大学生による暴行事件が発生しました。加害者は長年いじめを受けていたとされ、耐えきれなくなった結果、同級生にハンマーで襲いかかるという形で感情を爆発させたのでしょう。
報道によれば、加害者は学校生活の中で度重なる精神的苦痛を受けていました。しかし、周囲に助けを求めることができず、追い詰められた末に暴力に走ってしまったのかもしれません。いじめは被害者の心を深く傷つけるだけでなく、突発的な事件を引き起こす可能性もあります。
仙台市泉区で起きたいじめを受けた娘と母による心中事件
2018年11月、仙台市泉区で母子が命を絶つという痛ましい事件が発生しました。原因とみられるのは、小学2年生の娘が受けていたいじめです。
娘は学校で継続的にいじめを受けていたものの、学校側の対応は十分ではありませんでした。母親は娘を守ろうと何度も訴えていたようですが、状況は改善されなかったと言われます。最終的には母子ともに精神的に追い詰められ、取り返しのつかない選択をしてしまいました。
親がやってはいけないNG行動
お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとき、親としてどう対応するべきか迷うことがあるでしょう。何とか学校に行かせようとするあまり、知らず知らずのうちに子どもを追い詰めてしまうケースも少なくありません。ここでは、不登校の子どもに対して親が避けるべき行動を解説します。
無理に学校に行かせる
「休ませると、ますます学校に行かなくなるのでは」と不安に感じ、無理に登校を促してしまうことがあります。しかし、子どもが強いストレスを感じている場合、無理やり学校へ行かせることは逆効果になります。
登校を強制されることで、子どもは「つらくても我慢しなければならない」と思い込んでしまうことも少なくありません。結果として、不安やストレスが蓄積し、心身の不調を引き起こすこともあります。学校へ行くことがすべてではなく、まずは子どもの気持ちを受け止め、安心できる環境をつくることが欠かせません。
怠けていると非難する
「学校に行きたくない」という言葉を聞いたとき、親の中には「怠けているのでは」と疑ってしまう人もいるのではないでしょうか。しかし、子ども自身も「行かなければならない」と感じていることが多く、その葛藤の中で苦しんでいるかもしれません。
「サボりたいだけだろう」「みんな頑張っているのに」などの言葉をかけると、子どもは親に理解してもらえないと感じ、ますます心を閉ざしてしまいます。本当に怠けているのではなく、心や体が限界に近づいている可能性があるため、まずは気持ちをしっかり聞くことが大切です。
周囲の子どもと比較する
「○○ちゃんはちゃんと学校に行っているのに」「お兄ちゃんのときはこんなことなかった」など、他の子どもと比較することは、不登校の子どもにとって大きなプレッシャーになります。
比較されることで、「自分はダメな子だ」「親をがっかりさせてしまった」と感じ、自己肯定感が低下するかもしれません。不登校の原因や状況は一人ひとり異なるため、他の子どもと比べても意味がありません。それよりも、子ども自身の気持ちを尊重し、できることから前に進めるように支えることが大切でしょう。
「疲れた、学校に行きたくない」に対して親ができる具体的な対応方法
お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとき、親はどう対応すればよいのか悩むことが多いでしょう。不安やストレスを抱えている子どもにとって、親の言葉や態度は大きな影響を与えます。ここでは、親ができる具体的な対応方法を紹介します。
子どもの気持ちをありのままに受け止める
「学校に行きたくない」と言われると、つい理由を問い詰めたり、無理に励ましたりしたくなるかもしれません。しかし、まずは「つらいんだね」「行きたくない気持ちがあるんだね」と、子どもの気持ちをそのまま受け止めることが大切です。
子どもは、自分の気持ちを理解してもらえたと感じると安心します。その安心感が、次の行動につながるきっかけになるでしょう。無理に解決策を示そうとせず、子どもの言葉に耳を傾けることが欠かせません。
家庭の居心地を良くしてあげる
学校でストレスを抱えていると、子どもは家庭で安心できる場所を求めます。しかし、親がイライラしたり、登校を促すことで緊張感が続くと、家の中でも気持ちを休めることができません。
無理に「学校に行かせよう」とするよりも、まずは家庭をリラックスできる環境に整えることが大切でしょう。食事を一緒に楽しんだり、好きな話題で会話をしたりすることで、安心感を取り戻すことができます。
同じ悩みを持つ人と交流する
子どもが不登校になると、親自身も孤独を感じることがあるかもしれません。周囲に相談できる人がいないと、不安や焦りが強くなり、適切な対応が難しくなることもあります。
そんなときは、不登校の子どもを持つ親の会や、専門家による相談会などに参加してみるのも一つの方法です。同じ悩みを持つ人と話すことで、気持ちが軽くなり、具体的な対策を見つけるきっかけになるでしょう。
専門機関や学校へ相談する
不登校の状況が続く場合、専門機関や学校のカウンセラーに相談することも検討しましょう。学校によっては、不登校支援の専門家が対応してくれることもあります。
また、場合によっては専門機関であっても解決が難しいこともあるので、自治体やNPOが提供する支援サービスを活用するのも有効です。親子だけで問題を抱え込まず、外部のサポートを受けることで、新たな選択肢が見つかるかもしれません。
子どもにとっての第3の居場所を見つける
学校以外の学びの場や活動の場を見つけることも、不登校の子どもにとっては大切です。フリースクールやオンライン学習、地域の居場所支援など、学校以外にも学びや人とのつながりを持てる場所は多くあります。
無理に学校に戻すのではなく、子どもが安心して過ごせる環境を見つけることで、少しずつ自信を取り戻すことができるでしょう。親の視点だけでなく、子ども自身が「ここなら大丈夫」と思える場所を一緒に探すことが大切です。
フリースクールと社会的処方
お子さんが学校に行けない状況が続くと、親としては「このままで大丈夫なのか」と不安になるかもしれません。しかし、学校以外にも学びの場や成長の機会は存在します。その一つがフリースクールや、地域での人とのつながりを活用する社会的処方です。ここでは、それぞれの特徴と可能性を解説します。
病院や専門機関でも解決しない場合
「カウンセリングを受けたけれど変化がなかった」「専門家に相談しても解決しなかった」という声を耳にすることがあります。不登校の原因は一人ひとり異なるため、一つの方法だけでは十分な支援にならないこともあるでしょう。
このような場合、学校や家庭の枠を超えて、新しい環境を探すことが必要になるかもしれません。医療やカウンセリングだけでなく、地域での活動や全寮制フリースクールなど、子どもが安心して過ごせる場を見つけることが重要です。
社会的処方がもたらす力
最近注目されているのが、「社会的処方」という考え方です。これは、医療だけでなく、地域の支援や人とのつながりを通じて心の健康を回復させる方法です。
例えば、不登校の子どもが地域のボランティア活動やアートワークショップに参加することで、人と交流しながら少しずつ自信を取り戻すケースがあります。こうした場は、学校とは異なるリズムで活動できるため、プレッシャーを感じにくいのが特徴です。
同じ悩みを抱える仲間との出会い
フリースクールや地域の学びの場には、不登校を経験している子どもが多く通っています。同じ悩みを持つ仲間と出会うことで、「自分だけではない」と感じられるのは大きなメリットでしょう。
学校では孤立してしまった子どもでも、新しい環境で仲間を見つけることで前向きな気持ちを取り戻すことがあります。自分のペースで話せる場所があると、少しずつ社会とのつながりを築くことができます。
全寮制フリースクールの可能性
フリースクールの中には、全寮制の施設もあります。家庭の環境を離れ、新しい環境で生活することで、気持ちをリセットしやすくなるでしょう。
全寮制のフリースクールでは、規則正しい生活や集団生活を通じて、社会性を養うことができます。親との関係がうまくいかず、家庭でのストレスが大きい子どもにとっては、一つの選択肢となるかもしれません。
関連記事:不登校の子どもが通うフリースクールとは?授業や費用・メリットなど解説
「疲れた、学校に行きたくない」場合は第三者に相談しよう
お子さんの不登校が続くと、家庭内だけで解決するのが難しくなることがあります。そんなときは、学校以外の学びの場や支援機関を活用することが欠かせません。
チャレンジスクールは、不登校のお子さんのために、安心して学べる全寮制の環境を提供しています。生活リズムを整えながら学び直し、自信を取り戻せるよう専門スタッフが丁寧にサポートします。
一人で悩まず、ぜひ一度無料相談を活用してみてください。お子さんに合った環境を一緒に考え、新たな一歩を踏み出すお手伝いができればと思います。