スクール便り

不登校の問題は年々深刻化しており、文部科学省の調査によると、小中学生の不登校者数は増加傾向にあります。従来の学校支援だけでは解決が難しいケースも多く、適応指導教室やカウンセリングでは根本的な解決に至らないことも少なくありません。

特に、「いじめ」が主な原因と思われがちですが、実際の調査では他の要因がより影響を与えていることがわかっています。不登校の背景は複雑であり、一人ひとりに適した支援が求められます。本記事では、不登校の主要な原因をランキング形式で紹介し、解決の糸口を探ります。

日本における不登校の現状

日本の不登校の問題は年々深刻化しており、文部科学省の調査によると、小中学生の不登校者数は過去最高を記録しています。従来の学校や教育機関のサポートだけでは解決が難しい事例も多く、適応指導教室やカウンセリングだけでは不登校からの脱却に至らないことも少なくありません。

そのため、新たな支援策や環境の見直しが求められており、全寮制フリースクールのような、より包括的なサポートを提供する場への関心が高まっています。

関連記事：不登校の主な原因は？起こり得るケースや対策、ケア方法を解説

不登校の原因ランキング  

不登校の原因は一つではなく、さまざまな要素が複雑に絡み合っていることがわかります。中でも「いじめ」は14位で、一般的なイメージとは異なり、不登校の主要因ではないことが明らかになっています。今回は、東京都教育庁指導部による「令和５年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」をもとにご紹介します。

1位：やる気がでない

不登校の最も多い原因は「やる気がでない」ことです。学習意欲の低下や学校生活への興味喪失により、学校へ行く目的を見失ってしまうケースが増えています。特に、学校の授業に楽しさを感じられない、成功体験が少なく自己肯定感が低い状況が続くと、「行っても意味がない」と考えるようになり、不登校につながりやすくなります。

また、ストレスやプレッシャーの蓄積によって無気力状態になることもあり、本人のやる気を引き出す環境作りが大切です。

2位：不安感がある

漠然とした不安感が強く、不登校につながるケースも多く見られます。学校生活の中で人間関係や学習面のプレッシャーを感じることが、不安の原因となることがあります。また、特定の授業やテストに対する恐怖心、将来への不安などが積み重なり、次第に登校が困難になることもあるでしょう。

このような場合、本人の気持ちを尊重しながら、不安の原因を取り除く支援が求められます。

 3位：生活リズムの乱れ

夜更かしや昼夜逆転の生活習慣が、不登校を引き起こす大きな要因の一つです。ゲームやスマートフォンの長時間利用により、睡眠時間が削られることで朝起きられなくなり、結果として学校へ行けなくなるケースが増えています。また、体調不良が続くことで欠席が習慣化し、不登校へと移行することもあります。

 4位：学業不振

勉強についていけないことがストレスになり、不登校に発展するケースも多くあります。授業の進行スピードについていけない、成績が伸びないことで自信を失い、学校に行くこと自体を避けるようになることがあるでしょう。

特に、小学校から中学校に進学する際や、高校進学時に学習内容が難しくなることで、不登校になるリスクが高まることが指摘されています。

5位：友人関係のトラブル(いじめを除く)

友人関係の悩みが不登校の原因になることもあります。いじめではないものの、友人との関係がうまくいかず、学校に居場所がないと感じることがストレスとなり、登校を避けるようになるケースが増えています。また、グループ内のトラブルや、友人との価値観の違いによる摩擦が、学校生活を苦痛なものにしてしまうこともあるでしょう。

6位：家庭環境の変化

親の離婚や家庭内の問題が、不登校の引き金となることもあります。家庭環境の変化は、精神的な不安定を引き起こし子どもにとって大きなストレスです。また、親の仕事が忙しくなり、十分なコミュニケーションが取れなくなることも、不登校の原因として挙げられます。子どもが安心できる家庭環境を整えることが、不登校解決への大切なポイントです。

7位：特別支援にまつわるもの

発達障害や学習障害を持つ子どもが、通常の学校生活に適応しづらく、不登校になるケースも増えています。授業についていけない、周囲とのコミュニケーションが難しいなどの理由で、学校がストレスの場となり、登校を拒否するようになります。適切な支援が受けられる環境を整えることが、学校復帰のためには不可欠です。

8位：個人に対する配慮

学校側の対応が適切でない場合、不登校に繋がることがあります。例えば、教師の指導方針が合わない、授業中の発言を求められることにストレスを感じる、個別の配慮が足りないなどです。子ども一人ひとりの特性に応じた対応ができない場合、不登校のリスクが高まるため、学校側の柔軟な対応が求められます。

9位：転入や進級

転校や進級により、環境の変化に適応できず、不登校になってしまうケースも少なくありません。新しい学校やクラスでの人間関係を築くことにプレッシャーを感じる、以前の学校との違いに馴染めない理由が、不登校の要因となります。この場合、時間をかけて新しい環境に慣れることができるよう、周囲のサポートが大切です。

10位：あそびや非行

ゲームやインターネット、遊びへの依存が進むと、学校よりもそれらを優先するようになり、不登校につながることがあります。特に、オンラインゲームやSNSを通じた交友関係が深まると、現実の学校生活がつまらなく感じられ、登校意欲を失うことがあります。こうした場合、家庭でのルール作りや、適切なメディアコントロールが大切です。

不登校の原因ランキングからわかる親のせいではない理由とは

不登校の原因を議論される際、「親の育て方が悪いのでは？」などの意見が見られることがあります。しかし、「不登校の原因ランキング10選」を見ると、親の影響よりも、子ども自身の心理的要因や学校環境が大きく影響していることがわかります。

例えば、ランキングの上位に挙がる「やる気がでない」「不安感がある」「生活リズムの乱れ」などは、子ども自身が感じるストレスや学校への適応問題が根本的です。また、学業不振や友人関係のトラブルなども、親の関与ではなく、学校生活の中で発生する問題が要因となることが多いでしょう。

このように、「不登校は親のせい」と単純に結論づけるのは誤りです。むしろ、親が無理に責任を感じることで、子どもとの関係が悪化することもあります。不登校の根本的な要因を理解し、適切なサポートを検討することが、解決への第一歩となるでしょう。

文部科学省が示す不登校の要因4つ

文部科学省の調査によると、不登校の要因は大きく4つに分類されます。これらの要因は複雑に絡み合い、一つの要因だけでなく、複数の要素が影響して不登校に至るケースが多いとされています。

学校に係る状況

学校環境が不登校の要因となるケースは多く、文部科学省のデータでも「学校に係る状況」が大きな割合を占めています。例えば、教師との関係がうまくいかない、授業内容に適応できない、クラスメートとの関係にストレスを感じる問題が挙げられるでしょう。

また、学校の規則や雰囲気が子どもに合わないことも不登校の原因になりえます。過度な競争社会の中で、学業成績のプレッシャーが強くのしかかることで、学校に行きたくないと感じる子どもも少なくありません。さらに、部活動や委員会活動でのトラブルがきっかけで登校を拒否するケースもあります。

家庭に係る状況

家庭環境が不登校に影響を与えることも少なくありません。例えば、家庭内の不和や親の過干渉、逆に放任されすぎることが、子どもの精神的な安定を損なう要因となります。また、親の期待が大きすぎることでプレッシャーを感じ、兄弟との比較がストレスになるケースもあります。

特に、転居や親の離婚などの生活環境の大きな変化は、子どもにとって心理的負担となり、不登校の要因となることがあるでしょう。

本人に係る状況

子ども自身の性格や心理的な問題が、不登校の要因となる場合もあります。例えば、人間関係を築くのが苦手な子どもや、繊細でストレスを受けやすい子どもは、学校の環境に適応するのが難しくなることがあるでしょう。

自己肯定感の低さや、失敗への恐れが強すぎることで、学校での生活に自信を持てなくなることもあります。特に、思春期に入ると、将来の進路や周囲との比較による焦りが不安を増大させ、不登校に至るケースが増える傾向にあります。

該当なし（その他）

上記の3つの要因に該当しないケースもあるでしょう。例えば、何らかの体調不良や、原因が明確でない漠然とした理由で学校に行きたくないと感じる場合もあります。最近では、コロナ禍をきっかけにオンライン学習の快適さを知り、従来の学校生活に戻ることに違和感を覚える子どもも増えています。

不登校の原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることが多いため、親や学校、周囲の大人が子どもと向き合いながら、適切なサポートを考えることが必要です。

不登校の子どもにNGな行動

不登校の子どもに対して親がどのように接するかは、状況を改善する上でとても大切です。しかし、良かれと思ってやっている行動が、逆に子どもを追い詰めてしまうこともあります。

無理やり学校に行かせる

不登校の子どもに対して、無理に登校を促すことは逆効果になることが多いです。子どもが学校に行けないのには必ず理由があり、それを無視して強制すると、さらに精神的な負担をかけてしまいます。無理に学校に行かせようとすると、登校そのものに恐怖心を抱き、不登校が長期化することもあります。

理由を何度も聞く

「なぜ学校に行かないの？」「何が原因なの？」と、理由を何度も問い詰めることも、子どもにとって大きな負担になります。本人も明確な理由がわからないことが多く、答えられないことに対して罪悪感を抱いてしまう可能性があります。

また、「いじめられているの？」「勉強が嫌なの？」と決めつけた質問をすることも避けるべきです。信頼関係を築きながら、少しずつ気持ちを聞き出せるようにしましょう。

他の子どもと比較をする

「○○ちゃんは毎日ちゃんと学校に行っているのに」「お兄ちゃんのときはこんなことなかった」などと、他の子どもと比較するのも避けるべきNG行動です。不登校の子どもはすでに「自分はダメなんだ」と感じていることが多く、周囲と比べられることでその思いがさらに強まります。

周囲と比較するのではなく、子ども自身の気持ちに寄り添いながら、少しずつ前向きな気持ちを育てることが大切です。

不登校が原因で親が疲れた気持ちを楽にする方法

不登校の問題に直面すると、親も精神的に大きな負担を感じることが少なくありません。解決策が見えないまま悩み続けると、親自身の心身の健康にも悪影響があります。

1人で考え込まないこと

不登校の問題を抱えると、親は「どうすればよいのか」と一人で悩みがちです。まずは、家族や信頼できる友人、専門家に相談することで、客観的な視点を得ることが大切です。

同じような経験を持つ親のコミュニティに参加すると、共感し合える仲間ができ、精神的な負担が軽減されることもあります。一人で抱え込まず、適度に周囲の力を借りながら向き合うことが大切です。

自分を責めないこと

不登校になると、親は「自分の育て方が悪かったのではないか」と自責の念に駆られることがあります。しかし、文部科学省の調査でも示されているように、不登校の原因は多岐にわたり、必ずしも親の影響だけで決まるものではありません。

親が過度に自分を責めることで、そのストレスが子どもにも伝わり、さらに状況が悪化することもあります。親自身が心の余裕を持ち、穏やかに接することで、子どもも安心感を得られるようになります。

外部の力を利用する

不登校の解決には、親だけでなく、外部のサポートを上手に活用することが大切です。学校の先生やスクールカウンセラー、自治体の支援機関など、相談できる専門機関は多く存在します。

また、フリースクールやオンライン学習など、学校以外の学びの場を検討することも一つの方法です。親がすべてを背負うのではなく、適切な支援を受けながら解決策を探ることで、親子ともに負担を減らすことができます。

不登校の全寮制フリースクールとは

不登校の子どもをサポートする選択肢の一つとして、全寮制フリースクールがあります。学校や支援機関では解決が難しいケースでも、生活環境を大きく変えることで、子どもの成長を促すことが期待できます。

学校や支援機関で解決できない理由

不登校の解決には、学校や支援機関のサポートが大切ですが、必ずしもすべての子どもにとって最適な環境とは限りません。一般的な学校では、授業の進行やクラスメイトとの関係性が固定されており、不登校の子どもが復帰しづらい環境が続くことが多いです。

また、適応指導教室やスクールカウンセラーなどの支援機関も一定の役割を果たしますが、通う頻度が低くなることで継続的な変化が生まれにくい課題があります。そのため、環境を大きく変える全寮制フリースクールが選択肢として注目されています。

不登校専門機関のメリット

全寮制フリースクールの最大のメリットは、子どもが新しい環境の中で生活リズムを整え、自立心を養うことができる点です。親元を離れることで、家庭のストレスやプレッシャーから解放され、のびのびと生活することが可能になります。

また、少人数制のクラスや個別指導を採用しているフリースクールも多く、子どものペースに合わせた学習環境を提供できます。対人関係に悩んでいる子どもでも、新しい仲間との交流を通じてコミュニケーション能力を高めることができるでしょう。

さらに、フリースクールでは、学習だけでなく、農業やスポーツ、芸術など、さまざまな活動を取り入れることで、子どもの興味や才能を伸ばす機会を提供しています。こうした経験を積むことで、自信を取り戻し、社会復帰のきっかけをつかむことができます。

関連記事：不登校の子どもが通うフリースクールとは？授業や費用・メリットなど解説

不登校でお悩みなら外部に相談するのも一つの手

不登校の原因は多様であり、従来の学校支援やカウンセリングだけでは解決が難しい場合も多く、より包括的な支援が求められています。その中で、全寮制フリースクールなどの新たな選択肢が注目され、環境の変化を通じて子どもが自信を取り戻す手助けをしています。

チャレンジスクールでは、親の代わりとなって子どもたちの生活を見守り、安心できる環境を提供しています。自然の中での体験を通じて、協力やコミュニケーション力を育み、自己肯定感を高めます。

また、寮生活を通じて感謝の心を養い、自宅での当たり前の生活の大切さに気づく機会を提供。さらに、自己理解を深めることで新たな目標を見つけ、未来に向かって歩み出せるようサポートします。お子さまの成長を共に考え、寄り添いますので、まずはお気軽にご相談ください。