不登校はなぜ増えた?増加の背景や原因・親のサポート方法を解説!

不登校の子どもは年々増加しており、その背景には社会や教育環境、価値観の変化が大きく関わっています。しかし、不登校は決して「甘え」ではなく、それぞれの子どもが抱える課題や悩みの結果として現れるものです。
親としては、子どもを無理に学校に戻そうとするのではなく、病院や児童相談所、フリースクールなど外部の支援を活用しながら寄り添うことが重要です。本記事では、不登校の原因や具体的なサポート方法、親ができる対応について詳しく解説します。
不登校は増加している?その背景とは?
近年、不登校の児童・生徒数は年々増加しており、2023年度には過去最多の34万人に達しました。これは前年度の約30万人ほどからさらに増加し、1,000人あたりの割合で見ると37.2人にあたります。不登校の増加は11年連続で続いており、社会的な課題となっています。
また、学校外の機関や専門機関の指導を受けて出席扱いとなった児童生徒は38,632人、自宅でICTを活用して学習し、出席と認められた児童生徒は10,467人でした。
この背景には、学校環境の変化、SNSの普及、価値観の多様化などが影響しており、従来の教育システムに適応できない子どもが増えていることが要因の一つと考えられます。不登校の増加に伴い、家庭や社会全体での支援のあり方が問われています。
参照:令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
不登校が増加する主な原因
近年、不登校の子どもが増えている背景には、さまざまな要因が関係しています。不登校の増加は単なる個人の問題ではなく、社会全体の構造変化と深く結びついています。
社会の変化
現代社会の変化が、不登校の増加に大きく影響を与えています。特にSNSの普及やコロナ禍の影響が、子どもたちの学校生活に与える影響は無視できません。SNSが普及したことで、学校以外でも人間関係のストレスを抱える子どもが増えました。オンライン上でのいじめや、他者と比較する機会の増加が、自己肯定感の低下を招くこともあります。
教育環境の変化
学校の教育環境も、不登校の増加に大きく影響を与えています。学力競争の激化や、学校側の対応の難しさが、不登校の子どもを生み出す要因となっているでしょう。近年、教育改革によりカリキュラムが大きく変わり、学習内容の難易度が上がっています。
特に、周囲と比べて学習の遅れを感じると、劣等感が強まり、登校を避ける傾向が見られます。このように、学校の教育環境の変化が、子どもたちの学校生活に影響を与え、不登校の増加につながる一因となっているでしょう。
価値観の変化
近年、学校に通うことが絶対ではないとの価値観が広がりつつあります。これまで「学校に行くのが当たり前」とされていた考え方が変化し、親子ともに学校以外の学びの選択肢を考えるケースが増えてきました。不登校に対する社会の認識も変わり、「無理に学校に行かなくてもよい」などの意見が増えています。
特に、フリースクールや通信制高校の代替教育の選択肢が充実してきたことで、親も子どもも「学校以外の道がある」と考えるようになりました。こうした価値観の変化が、不登校の増加に影響を与えており、親も柔軟な対応が求められる時代になっています。
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不登校は「甘え」ではない
不登校の子どもに対して「ただの甘えでは?」と考えてしまう人もいますが、実際には子ども自身が大きなストレスや困難を抱えていることがほとんどです。学校に行けない理由はさまざまで、いじめや学習への不安、家庭環境の影響、精神的な負担など、複数の要因が絡み合っているケースも少なくありません。
「学校に行かないのは怠けているから」と決めつけると、子どもはますます孤立し、精神的なダメージを受けてしまいます。大切なのは、子どもの気持ちに寄り添い、なぜ学校に行けないのかを理解しながら適切なサポートを行うことです。
不登校の子どもに親ができる具体的なサポート方法
不登校の子どもに対して、親としてどのようなサポートができるのか悩むことは少なくありません。特に、学校復帰を前提としたサポートだけでは子ども自身の負担が大きくなり、かえって心を閉ざしてしまうこともあります。
病院への通院
不登校の背景には、心身の不調が関係している場合があります。精神的なストレスが蓄積すると、頭痛や腹痛、倦怠感などの症状が現れることがあり、子ども自身も「なぜ学校に行けないのか」説明できないことが少なくありません。
こうした場合、心療内科や小児精神科を受診することで、専門的な診断を受けることができます。カウンセリングを通じて、子どもの不安や悩みを整理し、適切な治療やアプローチを見つけることが可能です。また、医師の診断があることで、学校側との連携がスムーズに進むこともあります。
児童相談所への相談
児童相談所では、不登校の子どもに関する相談を受け付けており、専門の相談員が対応してくれます。特に、親だけで解決が難しい場合や、学校とのやり取りがうまく進まないときに、第三者の視点でアドバイスを受けることができます。
ただし、相談所はあくまでアドバイスを提供する場所であり、実際に子どもが社会復帰するための継続的な支援を行う場ではありません。そのため、相談を受けた後にどのような支援を活用するかを、親が主体的に考えていく必要があります。
学校との連携
学校側と連携を取ることも、不登校の解決に向けた大切なステップです。担任の先生やスクールカウンセラーと話し合いながら、子どもが少しずつ学校に適応できる環境を整えていきます。
例えば、教室ではなく保健室や別室で学習する「別室登校」や、短時間の登校から始める「段階的登校」などの方法を取り入れることもできます。これにより、子どもの負担を軽減しながら、学校復帰の可能性を探ることができるでしょう。
フリースクールの活用
学校以外の選択肢として、フリースクールを活用することは、不登校の解決に向けた効果的な方法の一つです。特に、これまで病院や児童相談所、学校との連携を試みても改善しなかったケースでは、フリースクールが有効な選択肢となることが多いです。
フリースクールでは、子どもが自分のペースで学べる環境が整っており、学校とは異なるアプローチで教育が提供されるため、プレッシャーを感じることなく学習やコミュニケーションを進めることができます。
特に、全寮制のフリースクールでは、親元を離れて生活しながら学ぶことができるため、家庭環境の影響を受けにくくなる利点があります。家庭内でのストレスや親子関係の問題が不登校の要因となっている場合、フリースクールでの生活が子どもの自立を促し、社会復帰のきっかけとなることが多いです。
フリースクールの具体的な活用方法
従来の学校環境が合わない場合、フリースクールのような別の学びの場を活用することで、子どもが自分のペースで成長できる環境を見つけることができます。
子どものペースに合わせた勉強
フリースクールの大きな特徴の一つは、子どものペースに合わせた学習環境を提供できることです。従来の学校では、一斉授業の形式が一般的であり、学習の進度についていけない子どもにとっては大きなストレスになります。しかし、フリースクールでは、子ども一人ひとりの理解度や興味に応じてカリキュラムを調整することが可能です。
例えば、教科ごとにレベルに応じた教材を選び、マンツーマン指導や少人数クラスで学ぶことで、学習への抵抗感を減らし、自信を取り戻すことができます。また、オンライン学習や体験学習など、柔軟な学習方法を取り入れることもでき、学校の枠にとらわれない学び方を実現できます。
同じ境遇の友達との交流
不登校の子どもにとって、同じ境遇の仲間と出会い、安心して交流できる場があることはとても大切です。フリースクールでは、学校とは異なり、さまざまな背景を持つ子どもたちが集まります。
例えば、グループワークや共同活動を通じて、無理なく人との関わり方を学ぶことができます。また、レクリエーションやイベントを通じて、社会的なスキルを少しずつ身につけていくことができるのもフリースクールの大きな利点です。
カウンセリング
フリースクールでは、専任のカウンセラーが在籍し、子どもだけでなく親のサポートも実施しているのが特徴です。子どもに対しては、トラウマの整理や自己肯定感の回復を促すカウンセリングを行い、無理のないペースで気持ちを引き出します。
一方、親に対しては「子どもとの向き合い方」や「適切な接し方」のアドバイスを提供し、家庭での対応をスムーズにします。親自身が不安を抱えたままだと、子どもにその影響が伝わり、状況が悪化することもあるでしょう。親子双方がカウンセリングを受けることで、より良い関係を築き、前向きな解決につなげることが可能になります。
寮で生活する
全寮制のフリースクールは、特に家庭環境や生活習慣の乱れが不登校の原因となっているケースで効果的な選択肢となります。家庭内でのストレスが大きい場合や、親子関係の問題が不登校を引き起こしている場合、自宅とは異なる環境で生活することで、自立心を育み、新たな生活習慣を確立することができます。
例えば、寮生活では、起床・食事・勉強・自由時間の規則正しい生活リズムを身につけることが求められます。また、他の子どもたちと共同生活を送ることで、社会性や協調性を養うことができるのも大きな利点です。
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不登校の子どもに親がすべき対応
不登校の子どもを持つ親にとって、「どのように接するべきか」「何をしてあげるべきか」は大きな悩みの一つです。子どもが学校に行けない背景にはさまざまな要因があり、親としては焦らず、適切な対応を取ることが欠かせません。
無理に学校復帰を求めない
不登校の子どもに対して、「早く学校に戻らせなければ」と焦るのは逆効果です。親が学校復帰を強く求めることで、子どもは「期待に応えなければならない」などのプレッシャーを感じ、より心を閉ざしてしまうことがあります。
まずは、子どもが今置かれている状況を受け入れることが大切です。登校できないのは怠けや甘えではなく、心の負担が大きくなっている可能性があります。無理に学校に行かせるのではなく、家庭で安心できる環境を整え、子どもの気持ちに寄り添うことが解決への第一歩となります。
原因を追求しない
「なぜ学校に行きたくないの?」と問い詰めるのは、子どもにとって大きな負担になります。不登校の原因は複雑で、子ども自身も明確に説明できないことが多いからです。
親が原因を追求しすぎると、子どもは「自分の気持ちを否定されている」と感じ、ますます心を閉ざしてしまいます。それよりも、子どもが安心して話せる環境を整え、自然と気持ちを話せるタイミングを待つことが大切です。
規則正しい生活を送らせる
不登校が続くと、生活リズムが乱れやすくなります。まずは、食事・睡眠・活動時間のリズムを整えることを意識しましょう。学校に行くことができなくても、一定の時間に起きて食事をし、軽い運動や趣味の時間を作るだけでも、生活の安定につながります。
子どもが自発的に動けるようになるまで、無理に強制するのではなく、親が適度にサポートしながら規則正しい生活を促すことが大切です。
子どもに寄り添う
子どもにとって、親が自分の味方であると感じられることは何よりも大切です。「学校に行かなくても大丈夫」「あなたの気持ちを理解したい」と伝え、無理に解決を急がず、安心できる環境を整えましょう。
2025年1月には、いじめを受けていた法政大学の学生が、授業中にハンマーで殴打する事件が発生しました。この事件は、大学生であっても精神的に追い詰められると正常な判断ができなくなることを示しています。子どもが極端な行動に走らないよう、親が焦らず寄り添い、心の安定を第一に考えることが大切です。
自分自身のケアも怠らない
不登校の子どもを支える親にとって、自分の心のケアもとても大切です。子どもの状況がなかなか改善しないことで、「自分の対応が間違っているのでは」と自責の念に駆られる親も少なくありません。しかし、親が精神的に追い詰められてしまうと、適切な判断ができなくなり、家庭内の雰囲気が悪化することもあります。
過去には、親が極度のストレスを抱えた結果、取り返しのつかない悲劇に発展したケースもあります。海老名市で発生した事件のように、親が追い詰められた末に最悪の事態を招くことがないよう、早めに周囲のサポートを受けることが大切です。
不登校は悪いことではない、抱え込まず外部に助けを求めよう
不登校の状況に直面すると、親として「何がいけなかったのか」「どうすれば学校に戻れるのか」と考えてしまいがちです。しかし、不登校は決して悪いことではなく、子どもが自分の心や体を守るための選択であることも多いです。フリースクールやカウンセリング機関、支援団体など、子どもを支えるための選択肢は数多く存在します。
チャレンジスクールでは、自然の中での生活や共同体験を通じて、自己理解を深め、社会性を育む環境を提供しています。親子の負担を軽減し、子どもが新たな目標を見つけるサポートを整えているため、ぜひお気軽にご相談ください。